全米映画俳優組合賞(SAGアワード)2024:レッドカーペットの煌めき

アカデミー賞前哨戦とも言われる、全米映画俳優組合賞(Screen Actors Guild Awards、以下SAGアワード)が30回目を迎え、映画・テレビ部門の優秀な演技を称える華やかな授賞式が開催されました。前年11月の組合ストライキの影響で一度延期された本授賞式は、今年ようやく執り行われ、会場には豪華なドレスやファッション史に残るような着こなしが続々と登場しました。

再会とオマージュ、そして煌めき

SAGアワードは、映画賞ではアカデミー賞、テレビ賞ではゴールデン・グローブ賞と並び称されるものの、俳優たちにとってはより思い入れの深い賞として知られています。授賞式は、数ヶ月前のストライキ時のカジュアルな服装とは打って変わって、女優たちが最高級のドレスに身を包み、レッドカーペットを彩りました。

今年のハイライトの一つは、「プラダを着た悪魔」のキャストによる懐かしの再会でした。アン・ハサウェイをはじめ、キャストたちはブルーを基調としたレッドカーペットで、それぞれ大胆な装いを披露しました。

ビーズと羽根、そして歴史的な瞬間

本賞で主演女優賞にノミネートされていたマーゴット・ロビーは、本作へのオマージュを込めた衣装を身に纏いました。ダニエル・ローズベリーが手掛けたスキアパレッリのブラックミニドレスは、彫刻のようなピンクの装飾が施され、肩からウエストを巻き、流れるようなトレインへと広がっていました。エミリー・ストーンは、映画「Poor Things」へのオマージュを思わせる衣装を纏いました。ルイ・ヴィトンのアンバサダーであるストーンは、シルバーのビーズが施されたシフォンドレスに、紫と青の繊細なフェザーをあしらったカスタムメイドのドレスを着用しました。

ビーズやラメだけでなく、フェザーやフリンジも今年のトレンドとなりました。ドラマ「ザ・ギルデッド・エイジ」でアンサンブル演技賞にノミネートされたケリー・カランは、白いフェザードレスを身に纏い、マディー・ジークラーは、シュリンプトン・クチュールから入手した歴史的なアレキサンダー・マックイーンのスプリング2003コレクションのドレスを着用しました。

ジークラーのマックイーンのドレスは、今回の授賞式における最も歴史に残る装いでしたが、女優・コメディアンのアヨ・エデビリやグレタ・リーも、斬新なドレスでレッドカーペットに華を添えました。コメディシリーズの主演女優賞を受賞したエデビリは、2023年秋冬コレクション Luarのチェック柄ドレスを着用し、この賞レースを完全制覇しました。エデビリは、まだレッドカーペットの定番とは言い切れない、比較的若いブランドのドレスを選択することで、個性をアピールしました。

グレタ・リーは、今シーズンの授賞式でロエベやボッテガ・ヴェネタなど実験的なブランドのドレスを着用してきましたが、SAGアワードでは、オーセンティックなブランドながらもレッドカーペットでは珍しい、ザ・ローの2023年リゾートコレクションのドレスを選択しました。レザーグローブとシンプルなヘアスタイルが、洗練された雰囲気を醸し出していました。

一方、ベル・パウリーは、シャネルの2022年秋冬オートクチュールのコレクションから、シルクチュールとフェザーをあしらった白黒のドレスを着用し、シンプルでありながらエレガントな装いを披露しました。アリ・ウォンもまた、アイリス・ヴァン・ヘルペンのレーザーカットドレスで、非日常的な美しさを表現しました。

そして、過去のコレクションを振り返った女優の一人がアン・ハサウェイでした。授賞式のわずか48時間前にミラノで開催されたヴェルサーチのファッションショーのフロントロウに座っていたハサウェイは、同ブランドの2015年春夏オートクチュールコレクションから、セルリアンブルーのドレスを着用しました。このドレスと色は、ハサウェイが2006年に主演した映画「プラダを着た悪魔」へのオマージュであり、授賞式ではハサウェイと共演者のエミリー・ブラント、メリル・ストリープがステージ上で再会し、映画へのオマージュを更に印象付ける演出が行われました。

レットカーペットの王道スタイル:煌めきとエレガンス

華やかな授賞式には、欠かせないレッドカーペットの定番ファッションが存在します。今回も同様、赤が様々な色調と素材で会場を席巻しました。スカーレット、チェリーレッドといった色味から、光沢感のあるサテン、マットな質感のものまで、様々な赤のドレスが披露されました。

エミリー・ブラントは、ルイ・ヴィトンのカスタムメイドのベアードネックドレスで、レッドが今シーズンのトレンドカラーであることを証明しました。リース・ウィザースプーンは、エリー・サーブ クチュールのストラップレスドレスを着用。ドレープされたボディースとドラマチックな太ももスリットが特徴的な、構造的なクレープ素材のドレスでした。

受賞は逃したものの、まるで受賞者のような装いで登場したのは、映画「マエストロ」で主演を務めたケリー・マ Mulliganでした。アルマーニ プリーヴェのサテンシャンパン色のドレスがエレガントさを演出しています。一方、レッドカーペットの司会を務めたエレイン・ウェルテロスは、ソフィー・クチュールの黒いベルベットのストラップレスドレスを着用しました。ドレスの下部にはメタリックゴールドのペプラムが施され、マッチングのグローブと合わせてシックかつ華やかなスタイルを完成させていました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

2024年の世界ファッショントレンド
カテゴリー
最近の投稿
最近のコメント
アーカイブ
2024年11月
« 10月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  
タグ